日本の陸運の歴史と法制度について
日本の陸上運送(陸運)の歴史や、物流二法などの物流業界ビジネスの概要について。(スナップアップ投資顧問)
陸上運送(陸運)の歴史
道路運送法による規制
戦後になって自動車輸送の割合が高まり、陸運はその波に乗って発展してきたが、トラック輸送は長年にわたって道路運送法により市場区分の規制を受けてきた。
輸送産業の規制緩和
しかし1990年(平成2年)に「物流二法」(貨物自動車運送業法・貨物運送取扱事業法)が施行され、輸送産業の規制緩和がはかられた。これは1981年(昭和56年)に設置された第二次臨時行政調査会で、運輸事業の規制緩和と関連の深い、許認可の整理・合理化の答申がなされたことが発端であった。この翌年には、公正取引委員会による運輸事業7業種の検討と、行政管理庁による陸上貨物運送事業の監察結果にもとつく勧告が運輸省に対してなされた。
「物流二法」(貨物自動車運送業法・貨物運送取扱事業法)による変化
1986年(昭和61年)、臨時行政改革推進審議会(新行革審)において、トラック事業、運送取扱事業、海上運送事業などについて「従来の量的規制から質的規制へと転換をはかる必要がある」という内容をもつ答申が出され、「物流二法」の施行へと結びついていった。物流二法の施行で変化した点について簡単に説明しよう。
「貨物自動車運送業法」による変更点
(1)市場区分の規制の撤廃(従来は市場区分により貨物の積み合わせ行為に禁止条項があった)
(2)運送事業の経営が免許制から許可制になった(国の機能はコントロールからチェックに変った)
(3)運賃・料金が認可制から事前届出制に変った(運送事業者独自の原価計算にもとつく)
(4)運行管理者(全日本トラック協会など)の権限強化(過積載の禁止、過労運転の防止などの指導)
「貨物運送取扱事業法」による変更点
(1)利用運送事業(荷主との運送契約、運送事業者との契約により貨物の運送を行う)と運送取次事業(運送契約の当事者ではない。荷主の委託を受けて取次・受取を行う)に大別された
(2)事業への参入が免許制から許可制・登録制になった
(3)運賃・料金の事前届出制へ
近代化の推進が必要
これらの規制緩和によって、市場に対応した競争原理が導入されることになり、利用運送事業の資格を取得していれば、各企業はあらゆる輸送機関を活用して事業展開ができるようになったのである。この業界は総合的な物流サービスをめざす上で、根本的な近代化を推進することが要求されることになる。